「話題の監督 ジョゼ・モウリーニョとは」
No.11 2005/5/6
今季、他を寄せ付けない圧倒的な強さでチェルシーを50年振り2度目
のプレミアリーグ優勝に導き、同クラブとの契約を2010年まで延長
したジョゼ・モリーニョ。新たに複数年契約を結んだその年俸は、
歴代の監督で最高の約14億円とも言われる。
最近何かと話題に上るこの監督だが、そのキャリアは他の監督達と
は大きく異なっているのだ。
まずひとつに、他の名だたる監督達が現役時代に数々の栄光を獲得
していたのと対照的に、彼はプロ選手としての経験がない。これは
決定的な違いといってもよい。
元々はポルトガルユースに選出された経験もある優秀な選手だった
のだが、怪我や父親がクラブの監督をしていたこともあり、選手と
してよりもベンチワークに興味を持つようになる。
体育教師をしていた経験もあるがやはりサッカーを捨て切ることが
出来ず、意を決してスコットランドで語学勉強。そこで何と5ヶ国
語をマスターしたと言われる。
そして、通訳としてスタッフ入りしたスポルティング・リスボンで
イングランドの英雄ボビー・ロブソンの信頼を獲得。以後ロブソン
と共にポルト、バルセロナなどのクラブを渡り歩く。
そして00/01シーズン、かつてエウゼビオやルイス・フィーゴも在籍
したことのあるポルトガルの名門、ベンフィカで監督デビューを果
たす。
その後、ポルトにてUEFAカップ、チャンピオンズリーグを制覇して
その名声を不動のものとし、04/05シーズンからチェルシーの監督を
務めて以降の活躍はご存知の通りである。
「名選手、名監督にあらず」というのは良く聞く言葉であるが、た
とえ選手として名声に届かなかったとしても、監督としては優秀で
あるというのは確かに十分に考えられること。選手として偉大で
あった人間を華々しく監督に迎える、というサッカー界の慣習を
破っただけでも彼の功績は十分評価に値する。
その甘いルックスと過激な発言が何かと注目を集める同監督である
が、まだ42歳の彼が今後のサッカー界にどのような軌跡を描いてく
れるのか、非常に興味深いところである。
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