「オセールで44年 ギー・ルー監督という人」
No.12 2005/6/10
日本ではあまり、というより全く知られていないが、欧州では実に
有名である人物というのは当然ながら大勢いる。
フランス、リーグ・アンで実に44年もの長きに渡って指揮官を務め
たギー・ルー監督(66歳)もその一人だ。
彼は1961年に選手兼監督という立場で同クラブを率いてから、2005
年の今日に至るまでの44年間をオセールと共に過ごしてきた。
オセールとは、ワインで有名なブルゴーニュ地方の片田舎にあるク
ラブで、彼はその任期中にクラブの歴史上唯一の一部リーグ制覇と
いう歴史を打ち立てた。そして何よりも称えられるのは、4度にも及
ぶフランスカップ優勝の実績である。これはマルセイユやパリ・サ
ンジェルマンといったフランスの強豪クラブに次ぐ記録であり、彼
の手腕が最も高く評価されるところである。
また若手の発掘にも優れ、ジブリル・シセ、フィリップ・メセ、
ジャン・アラン・ブームソン、オリビエ・カポらも彼の愛弟子達だ。
しかし、そんな彼ももう66歳。人生はまだまだこれからだが、想像
もつかないほどのプレッシャーに苛まれるサッカーチームの監督と
いう仕事はもう限界なのかもしれない。2001年には心臓のバイパス
手術を受け、その時から医者に「もうこれ以上は絶対にやめてくれ」
と言われていたという。
それでもその後4年間監督業を続けた彼だったが、チームを4度目の
フランス・カップ王者に導いた翌日の2005年6月5日、遂にグラウン
ドを去ることを決意したようだ。
彼の業績は疑うまでもない。しかし何よりも、同一クラブで44年も
指揮を執り続けるという事実は、人間としての器の厚さも物語って
いるのではないだろうか。
「彼の病気のことは分かっている。しかしそれでももう一年やって
くれないかと頼んだ」というクラブの会長の言葉が、すべてを表し
ているような気がする。
今後は慈善団体への活動に注力したいと話す、ルー元監督。心から
お疲れ様でしたと言いたい。
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