ありがとう、小さき巨人よ ジャン・フランコ・ゾラ引退





「ありがとう、小さき巨人よ ジャン・フランコ・ゾラ引退」
 No.13 2005/7/2




また一人、偉大なる選手がピッチを去る。小さき巨人、ジャン・フ
ランコ・ゾラその人だ。
マラドーナがナポリにスクデットをもたらした時、フェラーラと共
にその隣にいたのが彼だった。その後パルマでUEFAカップにも優勝。
1991年にはイタリア代表にもデビューし、その類まれなパスセンス
とテクニック、そして正確無比のフリーキックによって一躍超一流
選手の仲間入りを果たした。

しかし彼の本当の栄光はイングランドにあった。伝説の選手ジャン
ルカ・ビヤリ率いるチェルシーに入団。そこでリーグカップ、カッ
プウィナーズカップ、欧州スーパーカップ、チャリティーシールド
を制し、FAカップに至っては2度その栄光に浴するという驚異的な成
績を残した。その戦績から「チェルシー史上最高の選手」と称えられ、
イギリス王室から「サー」の称号を与えられた。これは外国人のしか
もサッカー選手としては異例のことである。

前出のマラドーナ、そして同じ時期のスーパースター、ロベルト・
バッジョの陰に隠れてしまった感も否めないが、そのプレイスタイ
ルはサッカー玄人に非常に愛された。
絶妙なテクニック、試合巧者振りやその細かな仕草までがとにかく
格好よかったのだ。「渋い」という言葉がこれほど似合う人はいな
かった。

個人的には、あのバッジョが決勝点を決めたアメリカW杯でのナイジェ
リア戦が思い出される。悪質なファウルを受けた直後、素早い動き
でボールを奪ったそのプレイに対し一発レッドで退場になった彼。
審判の目には「報復行動」と映ったそのプレイも、スローで見れば
まったくファウルではなく、ただあまりにも「巧すぎた」ゆえだっ
たのだ。

引退後は家族と共にゆっくりと過ごしたいと語っているゾラ。我々
は選手としても人間としても優れていた彼とその笑顔を忘れないだ
ろう。

※2005/7/26 改訂




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