サッカーコラム 「シェフチェンコのバロンドールについて」



「シェフチェンコのバロンドールについて」
 No.1 2005/1/27


先日、ACミランの、そしてウクライナの星であるアンドリー・シェ
フチェンコがサッカー選手にとって最高の栄誉といわれるバロンドー
ルを獲得した。記念すべき第一回目のコラムは、この話題についてで
す。
『ウクライナの矢』と評されるその類まれなスピード(ピーク時から
大分落ちはしたが)、多少のスライディング程度ではびくともしない
強靭な足腰、そしてゴール前で敵をスルスルとかわすテクニック…
それだけでなく、ジャンプ力やヘディングの強さ、キープ力、強烈な
フリーキックと、彼がストライカーとしてのあらゆる要素を備えてい
ることに異論はないだろう。
チャンピオンズリーグであのレアル・マドリーを破り、『ヨーロッパ
サッカーの未来を担う』と評された彼は鳴り物入りでミランに入団。
そして一年目で得点王に輝くという驚異的なポテンシャルを見せ、一
気に世界的なストライカーの仲間入りを果たした。
その後怪我で泣かされた時期もあるものの安定した成績を残し、02-03
シーズンにチャンピオンズリーグを制覇。そして03-04には念願のスク
デット及び二度目の得点王を獲得。クラブレベルでは非の打ち所のな
い輝かしい成績を収めていた。
そんな彼だからもっと以前からバロンドールを贈るべきだという意見
があったのだが「クラブ、そして代表レベルでの活躍」というバロン
ドールの評価基準がウクライナという、古豪ではあるものの現在では
サッカー小国と言わざるを得ない国に在籍していることが彼に歯止め
をかけた。
しかしそのウクライナも近年めきめきと力をつけており、2006年に行
われるドイツワールドカップの予選リーグでも首位を走るなどの好調
振りだ。
そしてこの度、大分前から並ばされていた人のようにようやく彼にバ
ロンドールが手渡されることとなったのである。

ただ、アンドリー・シェフチェンコという選手の魅力は、その能力以
外の何かがあるように思われる。
彼のプレイを見ていると、人としての暖かさが非常に伝わってくる。
それは、ゴールを決めた後に必ずチームメイトの顔をうかがうあのは
にかんだ笑顔や、誰かがゴールを決めた時に素直に祝福できる姿勢か
らも窺い知れる。時には「俺が決める」と強引に突破するエゴも見ら
れるが、それはむしろストライカーにとって必須の要素と言えるだろ
う。

私は彼と話した事はないしインタビューなど彼のサッカー以外の部分
もほとんど見た事がない。しかし何故か、何となくではあるのだが、
彼が非常に温和で気の優しい青年であるような気がするのだ。

これはシェフチェンコに限った事ではなく、サッカーを見ているとそ
の選手の性格や人柄まで何となく分かってしまうものである。この選
手は頭がいいとか、この選手は忍耐力がないとか。
それもサッカーの魅力のひとつなのかもしれないが。

※2005/4/28 改訂




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