サッカーコラム 「思い出のチャンピオンズリーグ #1」 00−01 準決勝 リーズ VS バレンシア



「思い出のチャンピオンズリーグ #1」
 00−01 準決勝 リーズ VS バレンシア
 No.2 2005/1/31


準々決勝でアーセナルを破ったバレンシアと、同じくラコルーニャを
下したリーズの戦い。リーズのホームで行われた1stレグ(正確には
失念しました)、颯爽と現れた若きイレブンにスタジアムは大歓声と
共に驚きの声に包まれた。

それはメンバーの「髪型」が原因だった。イアン・ハートを除く全員
が坊主頭だったからだ。当時のリーズといえば、洒落もののキューエ
ル、ごついビドゥカ、それに不良少年のようなアラン・スミスなど若
手中心で、特に欧米の個性を重んじる選手たちが突然そのような行為
をしたことに当時の私は非常に驚きを感じた。

理由は「気合を入れて、結束を高めるため」と言われていた。
しかし本当の理由は、「ここまで来たら俺達でいっちょやってやろう
じゃないか」という気概から来るものだったのだろう。
CLの準決勝といえばそこまで至るだけでも大変な境地。だからこそ、
若い自分達が居並ぶビッグクラブに一泡吹かせてやろうと思ったので
はないだろうか。

結局0対0に終わったその試合は、しかし決して退屈なものではなく
ヤング・リーズの選手たちはとても生き生きとしており、いかにも
「俺たちはサッカーが面白くてたまらない」というプレイがとても印
象に残っている。そしてそれと同時に、仲間で一斉にしかも「何とな
くノリで」坊主頭にしてしまう彼らは確かにすごく格好良かった。
カメラが試合開始前に整列する彼ら一人一人を映し出したとき、全員
が正に「してやったり」という不敵な笑いを浮かべていたのを忘れる
ことが出来ない。

結局2ndレグ3−0で負けてしまったリーズは大会から姿を消し、奇
しくもその後の経営母体の悪化によって当時主力だった選手たちのほ
とんどは様々なチームへと散り散りになってしまった。それは非常に
残念な事だが、以降あんなに伸び伸びと楽しそうにサッカーをするチ
ームを見ていないような気がする。

ちなみにハートだけ坊主にしなかったのは、数日後に結婚式を控えて
いたからで婚約者に猛反対されたからということだった。
ハート自身はどうしてもやりたいと最後までお願いしていたらしいが。

※2005/4/28 改訂




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