サッカーコラム 「観客の重要さ」



「観客の重要さ」
 No.3 2005/2/7


舞台はチャンピオンズリーグの予選リーグ最終戦。カードはレアルマド
リーvsローマ。
かたや既に敗退が決まっているものの、もう一方はトーナメント進出が
かかっているため絶対に負けられない…
普通だったら8万の大観衆で埋まるようなこの組み合わせとシチュエー
ションだが、実際は観客ゼロで行われた。
同じく第一戦、ローマvsキエフ戦でローマサポーターがグラウンド内に
物を投げて審判に怪我を負わせ、そのペナルティがこの試合をサポータ
ーなしで行うというものだったのである。
イタリアの、とりわけローマサポーターのマナーの悪さは最近特に際立
つがそれはとりあえず置いておいて、その試合は非常に大事なことを教
えてくれた。

試合内容自体は(ひょっとしたら八百長なのではないかとか何だかんだ
と言われているがそれもおいといて…)決して面白いものではなく、終
始レアルペースで0:3で終了した。
そしてその試合が我々に示してくれたものとは、サッカーにとってどれ
だけ観客が重要かということである。
聞こえてくるのは、終始選手たちの声だけ。世界を代表する錚々たるメ
ンバーがどんなに素晴らしいプレーをしても、拍手をするのはスタッフ
など関係者らしき人たちのみ。めったに見ることが出来ないシチュエー
ションに初めこそ面白半分で見ていたが、時間が経つにつれてかなり辛
くなっていく。
はっきり言ってまったくもって面白くないのだ。確かにレベルの高い試
合をしているはずなのにただの練習試合に見えてしまう。チャンピオン
ズリーグという至高の舞台が、まるで近所の草サッカーのようである。

22人の選手がピッチに登場してきた時のあの歓声、惜しいシュートを
外したときの何万人もが同時に発するため息、そしてゴールを決めた時
の地響きのような歓喜の声…
少なくともプロサッカーというのは、それらが全て一緒になって初めて
そう言えるものなのだということを改めて痛感。「サポーターの声援が
力になる」ひとつ間違えば決まり文句のように言われる選手達のその言
葉が、みるみる真実味を帯びてきた瞬間だった。

皆さんも、機会があれば是非見てみて頂きたい。それにもし言葉が分か
るのであれば、試合中に選手たちが普段どのようなことを言っているの
かを知ることが出来て、特に子供達にとっては大変勉強になるとは思い
ます。
選手がいてこその観客、そして観客がいてこその選手…

※2005/4/28 改訂




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