サッカーコラム 「『中盤』ってなんなのよ?」



「『中盤』ってなんなのよ?」
 No.5 2005/2/15


時に支配され、時にスペースが出来、コンパクトなのが良いとされ、
ここを制したものがサッカーを制すると言われるものってな〜んだ?

…なんてお寒いなぞなぞをやるまでもなく、今回のテーマは中盤です。
それも、『中盤とは何ぞや』という難しい話をするつもりもなく、た
だその言い方について考えたいと思います。
サッカーの中継を見ていると、必ずといって良いほどこの言葉は出て
きますね。特に専門家になればなるほど、サッカー語り好きになれば
なるほど、この言葉を多用したがるような気がしますが、この言葉っ
て充分に定義されていないような気がしませんか?

ちゅうばん【中盤】 
 (1)囲碁・将棋などで、序盤の布石や駒組みが終わり、本格的な戦
  いに入った段階。
 (2)勝負事などの中ほどまで進んだ時期。
  「選挙戦も―に入る」
  →序盤
  →終盤
三省堂「大辞林 第二版」より 

辞書でひいてみましたが、どちらも意味が違うようです。広辞苑でひ
いてもほぼ同じでしたので、どうやらサッカーで使う『中盤』とは独
特の表現のようです。
そこでサッカーにおける『中盤』を、個人的に勝手に定義してみるこ
とにします。大きく分けると、
 A:フィールドの比較的中央部分(ミッドフィールド)を指す
 B:選手のうち、MF(ミッドフィルダー)に属するものを指す
の二つになるようです。こうして見ると、AとBは似ているようで
まったく違う意味だからややこしいのかなと思います。今回はAに関
して使われる『中盤』に着目してみます。
この言葉も恐らく初めはBの意味だけで使われていたのだと思います。
しかし、いつの間にやらAの意味で用いられだしたのでしょう。それ
は一体何故でしょうか。
ここからはあくまで推測でしかありませんが、恐らく「支配」したり
「コンパクト」だったりするのは結局ミッドフィールドに限られるか
らではないでしょうか。FWの位置でボールを支配する人はいません
し、(それだったらシュートを撃てと言われますし)DFラインを支
配してもそれはただのボール回しに過ぎません。そうなると、結局支
配するのはミッドフィールドになります。「コンパクト」であるのも、
主にDFラインを押し上げる事によってミッドフィールドが狭くなり、
フィールドプレイヤー全員が近づくからでしょう。
そうであるならAの意味の『中盤』は、もっと他の分かりやすい言葉
に言い換えられます。

「今日の日本は、ほとんどの時間帯でフィールドを支配していますね」
「このチームは運動量が多く、全体がコンパクトにまとまってますね」

ただ『中盤』というのではなくもっと適した言葉を使う事で、サッカ
ーはもっと分かりやすくなるのではないかと思います。アナウンサー
や解説の方はその辺にもっと気を配るべきなのではないかと思います。

サッカー好きなら誰でも分かることなのですが、ここ最近あまりにも
乱用されすぎている気がして、それが少しでもサッカーを難しくして
いるのではないかと思い、こんなことをテーマにしてみました。
サッカーはルールが極端に少ない非常に簡単なスポーツです。初心者
の方に対し元々低い敷居を、無闇に上げる必要はないと思うのですが。

※2005/4/28 改訂




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