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1955年4月18日、後に国際サッカー連盟(FIFA)会長になる、イングランドのスタンリー・ラウス、
同じく副会長を務めたスイスのエルンスト・トーメンとイタリアのオットリーノ・バラージの
3人によって、UEFAカップの前身となるインターシティーズ・フェアーズカップが創設された。
この大会の大きな特徴は、クラブチームで争うのではなく欧州の各都市で選抜されたチームで
戦うというものであり、言わば「ワールドカップを都市でやる」ということである。また、参加
資格があるのは、毎年ヨーロッパで行われている「産業見本市」の開催都市であった。
第五回大会が行われた71-72シーズンから、「UEFAカップ」と名称を変更。大会が大きくなるに つれ産業見本市との関連性が薄くなりつつあったのを、この年を契機に完全に独立。大会の運営も UEFAが主導する事となった。 99-00シーズンに「カップ・ウィナーズ・カップ」を吸収統合。そしてその門戸をチャンピオンズ リーグ敗退チームやその他カップ戦に関連するチームまで広げ、出場可能チームは大幅に増加した。 三大会連続、または合計で五回優勝したクラブにはオリジナルの優勝杯が贈られることになってい るが、まだ実現したチームはない。
参加条件(注1)を見れば分かるように、見る側にとっても主催するUEFAにとっても、現在では すっかりチャンピオンズリーグの下という認識になっている。そして特にこの大会に関しては、巨大 なビジネスに呑み込まれて形骸化してしまったという気色が色濃く残る。 欧州の市民にとって、特にチャンピオンズリーグではとても良い結果を期待できないような弱小チーム のファンにとって、このUEFAカップは結構な重大性を持つ大会として認識されているようだ。しかし 外から眺めると、既に世界一を決めるという謳い文句の大会があるにも関わらずその下のクラブや敗退 したチームが争っているようにしか見えないのも事実。こればかりは欧米独特の文化であるから、どう 考えるかは皆さんのご判断にお任せしたい。 ただ私見を述べれば、確かにヨーロッパには多くの強豪クラブチームが存在するのでこの大会でも多く の面白い試合を見ることが出来る。しかし、本当にそれでいいのか?とも思う。経済的に効果があって、 勝ち進む事によって選手の年俸が上がる、という理由でいいのであれば確かに意味と言えるが、それは 大会としての価値が見出せない事の裏返しではないだろうか。チャンピオンズリーグの敗退チームを入れたのも、 カップ・ウィナーズ・カップを統合したのも見方によっては「強引」とも言えるし、勝ち上がったチーム が潤うのもいいことだが、それもほとんどの場合元々資金力のあるクラブだけ。そうなればクラブ 間の経済格差は開く一方であり、弱肉強食の経済の原理が何の疑いもなくサッカー界にも適用され、 既にその状況に歯止めが利かなくなっているようにも感じる。 この大会が必要でないというつもりは毛頭ないが、歴史と伝統ある魅力溢れるチームが財政難などで苦しんでい るのを見ると、懐古主義的感情が湧いてくるのを認めざるを得ない。 ※注1 ★UEFAカップ出場条件 〈予選〉 ○一回戦:H&Aのトーナメント方式 ・UEFAランク下位から47カ国のクラブ:47 ・フェアプレー枠:3 ○二回戦:H&Aのトーナメント方式 ・一回戦通過チーム:25 ・UEFAランク22〜49位の国内カップ戦優勝クラブ:27 ・UEFAランク16〜21位のリーグ2位と3位12チーム 〈本戦〉 ○予選:H&Aのトーナメント方式 ・予選突破チーム:32 ・インタートト・カップ枠:3 ・チャンピオンズリーグ予選3回戦敗退 :16 ・UEFAランク22〜50位のリーグ2位:29 ○グループリーグ:総当りのリーグ戦方式 ・予選通過チーム40を8つのグループに分け、上位3チームまでがトーナメント出場 ○決勝トーナメント:H&Aのトーナメント方式 ・グループリーグ通過(各組上位3位まで):24 ・チャンピオンズリーググループリーグ敗退:8 ・決勝は中立会場での一発勝負 ※チーム数は大会の開催年度によって微妙に異なります。 |
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